フロアリミットとは、クレジットカード決済において、加盟店がカード会社へオーソリゼーション(与信取得)を行うかどうかを判断する基準となる金額のことです。
決済金額がフロアリミットを超える場合、原則としてカード会社への与信確認が必要になります。
主に不正利用防止や未回収リスクの管理を目的として設定されています。
オーソリゼーション(与信取得)との関係
オーソリゼーションとは、カード決済時に**「この取引を実行して問題ないか」**をカード会社に確認する処理です。
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利用限度額を超えていないか
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カードが有効か
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不正利用の疑いがないか
これらをリアルタイムでチェックします。
フロアリミットは、このオーソリを必ず行うかどうかの境界線と考えると理解しやすいでしょう。
フロアリミットの具体例
例:フロアリミットが2万円の場合
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決済金額:5,000円 → オーソリ不要で決済
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決済金額:30,000円 → オーソリ必須
このように、一定金額を超える取引のみ与信確認を行うことで、決済スピードと安全性のバランスを取っています。
なぜフロアリミットが必要なのか
1. 不正利用リスクの軽減
高額決済ほど、不正利用時の損害は大きくなります。
フロアリミットを超えた取引で必ずオーソリを行うことで、不正カード利用を未然に防ぐ効果があります。
2. 加盟店の未回収リスク対策
オーソリを取らずに高額決済を行った場合、
後から「利用不可」と判定されると加盟店が売上を回収できない可能性があります。
3. 決済処理の効率化
少額決済すべてでオーソリを行うと、通信負荷や処理時間が増えます。
フロアリミットは、スムーズな決済体験を維持するための仕組みでもあります。
フロアリミットは誰が決める?
フロアリミットは以下の要素をもとに設定されます。
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カードブランド(Visa、Mastercardなど)
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カード会社(イシュア)
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加盟店契約内容
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業種・取扱金額・リスクレベル
業種によってはフロアリミットがゼロ(=全件オーソリ必須)に設定されるケースもあります。
店舗・事業者が注意すべきポイント
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フロアリミット未満でも不審な取引はオーソリを取る
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端末・決済システムの設定を定期的に確認する
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高額商品を扱う場合はフロアリミット設定を把握しておく
特にECサイトや無人決済では、フロアリミット=ゼロ運用が一般的です。
利用者側が知っておきたいこと
利用者が直接フロアリミットを意識する場面は多くありませんが、
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高額決済時に時間がかかる
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一時的に決済が止まる
といった場合、オーソリ処理が行われている可能性があります。
これは安全に決済するための正常な動作です。
まとめ
フロアリミットとは、クレジットカード決済においてオーソリゼーションが必要となる基準金額のことです。
不正利用防止と決済効率の両立を目的とした、重要な決済ルールの一つです。
加盟店・事業者は仕組みを正しく理解し、安全でスムーズなカード決済運用を心がけましょう。
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