突然の病気やケガで働けなくなったとき、あなたの収入はどうなりますか?
実は、公的な制度や一般的な保険では長期間の収入喪失を十分にカバーできないこともあります。
そんなときに頼りになるのが、企業が導入する**GLTD(団体長期障害所得補償保険)**です。
この記事では、GLTDの仕組みや特徴、企業・従業員の双方にとってのメリットなどをわかりやすく解説します。
GLTDとは?
**GLTD(ジーエルティーディー)**は、
「Group Long Term Disability(団体長期障害所得補償保険)」の略称で、企業が福利厚生の一環として導入する団体保険のひとつです。
✅ 主な役割
在職中に、病気やケガによって長期にわたって働けなくなった場合の収入減少を補償します。
なぜGLTDが必要なのか?|一般的な保険や制度との違い
公的制度の限界
日本には、以下のような公的な所得補償制度があります。
-
健康保険の傷病手当金:支給期間は最長1年6か月
-
障害年金:障害等級に応じた支給だが、申請が煩雑で支給要件も厳しい
これらは一定のセーフティネットではありますが、
✅ 支給金額が現役時の収入に満たない
✅ 支給までに時間がかかる
✅ 支給条件を満たさないケースもある
などの課題があります。
GLTDの特徴とメリット
特徴 | 内容 |
---|---|
対象者 | 主に企業に雇用されている従業員(団体契約) |
補償内容 | 働けなくなった際の所得の一部(例:標準報酬月額の50~70%)を支給 |
補償期間 | 一定期間(例:2年、5年、または定年まで) |
給付開始 | 傷病手当金終了後など、一定の待機期間(90日など)を経てスタート |
契約形態 | 企業が保険契約者となり、従業員を被保険者とする団体保険 |
具体例で見るGLTDの活用シーン
◆ 事例:40代・男性会社員がうつ病で長期療養
-
発症後、休職 → 傷病手当金(約18か月)で生活を維持
-
傷病手当金終了後も復職できず、無収入のリスクが発生
-
企業にGLTD制度があったため、その後も毎月収入の60%を補償され、生活の不安を大きく軽減
GLTDと民間の就業不能保険の違いは?
個人が加入する「就業不能保険」とGLTDには、以下のような違いがあります。
項目 | GLTD | 就業不能保険 |
---|---|---|
加入者 | 従業員(団体) | 個人 |
保険料負担 | 企業が全額 or 一部負担 | 本人が全額負担 |
給付内容 | 賃金の一定割合(所得補償) | 契約に基づく定額給付 |
保険設計の自由度 | 比較的柔軟(企業ごとに設計可) | プランによるが個人単位 |
企業にとってのGLTD導入メリット
✔ 優秀な人材の確保と定着につながる
福利厚生の充実は、採用競争力や社員満足度の向上に直結します。
✔ 休職者への経済支援で離職防止
長期療養中の収入源を支えることで、復職の意欲を維持しやすくなります。
✔ 社会的信用・企業ブランドの向上
社員を大切にする企業としての評価にもつながります。
GLTDが向いているのはどんな企業?
-
中堅〜大企業で福利厚生を強化したい企業
-
メンタルヘルスや長期療養の課題を抱えている組織
-
離職率低下・人材定着を重視している業種(IT、医療、教育など)
導入の注意点・検討ポイント
-
加入条件や補償内容の設計は企業単位で異なる
-
待機期間の設定により、補償開始まで時間がかかる場合も
-
保険会社との相談を通じて、企業の規模・従業員構成・リスクに合った設計が必要です。
まとめ|GLTDは企業と従業員双方の“安心”を支える制度
GLTDは、公的制度や一般の保険ではカバーしきれない「長期の就業不能リスク」に対応できる、心強い補償制度です。
企業にとっては福利厚生の強化につながり、従業員にとっては**“いざというとき”の生活を守る保険**となります。
将来のリスクに備える制度として、企業の保険担当者や人事部門の方は、ぜひ検討してみてください。
さらに参照してください: