キャッシュレス決済やオンライン決済が当たり前になった現在、
事業者にとって「情報セキュリティ対策」は避けて通れない重要課題です。
その中でも、企業の情報管理体制を国際的に証明する規格として広く認知されているのが
ISO/IEC 27001 です。
この記事では、決済分野での実務経験をもとに、
ISO/IEC 27001の基本から、決済事業・EC事業との関係性、取得するメリットまでを初心者にもわかりやすく解説します。
ISO/IEC 27001とは
ISO/IEC 27001 とは、
情報セキュリティ・マネジメント・システム(ISMS)に関する国際規格 です。
2005年10月に発行され、
企業や組織が保有する情報資産を適切に管理し、
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情報漏えい
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改ざん
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不正アクセス
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システム障害
といったリスクから守るための枠組みを定めています。
日本では「ISMS認証」としても知られており、
業種・企業規模を問わず幅広く導入されています。
ISMSとISO/IEC 27001の関係
ISMS(情報セキュリティ・マネジメント・システム)は
情報を守るための社内ルールや運用体制そのもの を指します。
ISO/IEC 27001は、そのISMSが
「国際規格に沿って適切に構築・運用されているか」を
第三者機関が審査・認証するための基準です。
つまり、
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ISMS:仕組み・運用
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ISO/IEC 27001:その国際的な評価基準
という関係になります。
決済・EC事業者にとっての重要性
クレジットカード情報・個人情報を扱うため
オンライン決済やID決済、サブスクリプションサービスでは、
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顧客の個人情報
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決済関連データ
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取引履歴
といった機密性の高い情報を日常的に扱います。
ISO/IEC 27001は、
これらの情報を組織的・継続的に管理する体制があることを示す指標となります。
取引先・顧客からの信頼向上
決済代行会社や大手ECモール、金融機関との取引では、
「ISO/IEC 27001を取得しているか」が
契約条件や選定基準になるケースも少なくありません。
特にBtoBビジネスや決済インフラに関わる企業では、
信頼性を可視化する手段 として大きな意味を持ちます。
ISO/IEC 27001で求められる主なポイント
ISO/IEC 27001では、単なるシステム対策だけでなく、
組織全体の管理体制が重視されます。
主な要素は以下の通りです。
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情報資産の洗い出しとリスク評価
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セキュリティポリシーの策定
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アクセス権限の管理
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インシデント対応手順の整備
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社員教育・運用ルールの徹底
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定期的な見直しと改善
「一度取得して終わり」ではなく、
継続的な運用と改善が求められる点が特徴です。
ISO/IEC 27001を取得するメリット
セキュリティ事故の予防
ルールや運用が整理されることで、
ヒューマンエラーや管理不備による事故を未然に防ぎやすくなります。
組織内の意識統一
情報セキュリティが
「IT部門だけの問題」ではなく、
全社員が意識すべき課題として共有されます。
対外的な信用力の向上
Webサイトや提案資料に
ISO/IEC 27001取得を明示することで、
顧客・取引先に安心感を与えることができます。
具体的な活用シーン
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決済代行サービスを新規導入する際の審査
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ECサイトでの個人情報取り扱い説明
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法人向けサービスの営業資料
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海外企業との取引・連携
こうした場面で、ISO/IEC 27001の取得有無が評価されるケースは非常に多いです。
まとめ
ISO/IEC 27001は、
情報セキュリティ対策を国際基準で証明するための重要な規格 です。
特に、
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オンライン決済
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クレジットカード決済
-
ECサイト運営
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決済インフラ関連事業
に携わる企業にとって、
信頼性・安全性を支える基盤と言えます。
これから決済サービスを拡大したい、
取引先からの信頼を高めたいと考えている事業者は、
ISO/IEC 27001の理解と活用を検討する価値は十分にあります。
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