オンライン決済では、カード情報や取引データを安全に送るために、さまざまなセキュリティ技術が使われています。その中でも特に重要なのが 「ハッシュ値(はっしゅち)」 です。
この記事では、ハッシュ値の仕組みから、オンライン決済でどのように不正防止に活用されているのかまで、専門家としてわかりやすく説明します。
ハッシュ値とは?まずは基本を理解する
ハッシュ値とは、ある文字列(データ)を特定のルールに従って変換した結果生成される「不規則な文字列」のことです。
ポイントは次の3つです。
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同じデータからは必ず同じハッシュ値が生成される
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異なるデータならまったく別のハッシュ値になる
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ハッシュ値から元のデータを逆算することはほぼ不可能
この特徴により、ハッシュ値はオンライン決済やログイン認証など、多くのセキュリティシステムで利用されています。
なぜオンライン決済でハッシュ値が重要なのか?
オンライン決済では、決済データの改ざん防止 のためにハッシュ値が使われています。
仕組みの流れ(わかりやすい例)
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ECサイト側が注文情報(例:金額・注文ID・店舗IDなど)を基にハッシュ値を生成
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そのハッシュ値を、取引データと一緒に決済代行会社へ送信
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決済システム側でも同じルールでハッシュ値を生成
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両者のハッシュ値が一致すれば「データは改ざんされていない」と確認できる
もし第三者が金額を書き換えた場合、決済側で生成されるハッシュ値と一致しなくなり、不正を即座に検知できます。
ハッシュ値が守るオンライン決済の安全性
● 改ざん検知
送信中のデータが変更されていないかを、自動でチェックできます。
● なりすまし防止
決済リクエストが正規のECサイトから送られているかを確認できます。
● セキュリティの強化
カード番号などの機密データを直接送信せず、ハッシュ値で確認することで情報漏洩リスクを軽減します。
ハッシュ値の生成で使われる代表的なアルゴリズム
オンライン決済では、次のハッシュアルゴリズムがよく利用されています。
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SHA-256
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SHA-512
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SHA-1(非推奨)
特に SHA-256 は、安全性と処理速度のバランスが良く、国内外の決済サービスで広く採用されています。
実際の利用シーン:EC事業者の視点
例えば、ECサイト運営者がオンライン決済を導入する場合、以下のような場面でハッシュ値を扱います。
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決済のリクエスト送信時にハッシュ生成
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システム開発時に「ハッシュ項目を含めた署名方式」の設定
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決済代行会社の仕様書にある“ハッシュ生成ルール”に従った実装
初心者のエンジニアやショップ担当者でも、ハッシュ値の役割を理解しておくことで、トラブル時の原因調査やシステム運用がスムーズになります。
まとめ:ハッシュ値はオンライン決済の「見えない盾」
ハッシュ値は、オンライン決済におけるセキュリティの基盤となる存在です。
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データ改ざんの検知
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正規リクエストの確認
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カード情報漏洩のリスク低減
といった役割を担い、利用者が安心して決済できる環境を支えています。
EC・オンラインサービスを運営する方や、決済の仕組みを理解したい方にとって、ハッシュ値は必ず押さえておきたい基本概念です。
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