企業間取引や金融取引でよく登場する「手形」。その中でも、不完全手形や白地手形は、法律上の取り扱いや銀行での扱いが少し複雑です。
この記事では、不完全手形の定義や手形法上のルール、白地手形の仕組みについて初心者にもわかりやすく解説します。
不完全手形とは
不完全手形とは、手形に記載すべき必要的記載事項の全部または一部が欠けている手形を指します。
法律上は不完全手形は無効とされますが、商習慣上や銀行取引において、場合によっては有効と扱われるケースもあります。
手形法における必要的記載事項
日本の手形取引は、手形法によって厳格にルールが定められています。
手形法では、手形を有効とするために記載すべき事項を規定しています。
為替手形の場合(手形法第1条)
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「為替手形」であることを示す文字
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一定の金額を支払う旨の単純な委託
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支払人の名称
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満期の表示
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支払地の表示
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支払を受ける者(指図者)の名称
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手形の振出日と地
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振出人の署名
約束手形の場合(手形法第75条)
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「約束手形」であることを示す文字
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一定の金額を支払う旨の単純な約束
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満期の表示
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支払地の表示
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支払を受ける者(指図者)の名称
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手形の振出日と地
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振出人の署名
これらが満たされていない手形が不完全手形にあたります。
白地手形とは
不完全手形の一種として白地手形があります。
白地手形とは、必要的記載事項の一部を意図的に空欄にして発行し、手形取得者による補充を認める手形のことです。
白地手形の特徴:
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空白部分の補充は取得者の裁量で行える
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補充の権利を「白地補充権」と呼ぶ
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銀行取引上や商習慣上、有効な場合がある
つまり、白地手形を発行することは、取得者に必要事項を補充する権利も付与することを意味します。
不完全手形の注意点
不完全手形や白地手形は便利ですが、使用には注意が必要です。
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必要事項が補充されない場合、法律上は無効になる
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補充権の範囲や取扱いを明確にしておかないと、トラブルの原因になる
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銀行での割引や決済には条件がつくことがある
まとめ
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不完全手形:必要的記載事項の一部または全部が欠けた手形で、法律上は無効
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白地手形:取得者による補充を前提とした不完全手形で、商習慣上は有効扱いされることもある
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手形法:手形の有効性を決める法律で、必要的記載事項を定めている
不完全手形や白地手形を理解することで、企業間取引や金融取引における手形のリスクと活用方法を正しく把握できます。
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