企業の会計を行ううえで欠かせないのが「会計期間」です。
経理や決算を担当している方なら必ず関わる重要な概念ですが、「事業年度との違いが分からない」「どのように設定すればいいのか悩む」という声も少なくありません。
この記事では、会計期間の基本的な考え方や、決め方のポイントを専門家の立場から分かりやすく解説します。
会計期間とは
会計期間とは、会社の財産や損益を集計するために区切る期間のことをいいます。貸借対照表や損益計算書を作成する際の基準期間であり、経営成績を一定期間ごとに把握するために設けられています。
会社計算規則第59条2項では、会計期間は原則として1年以内と定められています。多くの企業では、4月から翌年3月、または1月から12月を会計期間とするケースが一般的です。
会計期間の構成要素
会計期間は「期首」「期中」「期末」という3つの区分で構成されます。
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期首:会計期間の始まりの日
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期末:会計期間の終わりの日
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期中:期首と期末の間の期間
たとえば、4月1日から翌年3月31日を会計期間とする企業では、4月1日が期首、3月31日が期末となります。
会計期間と事業年度の違い
「会計期間」と「事業年度」はよく混同されますが、厳密には異なる概念です。
会計期間は会計上の区切りを意味し、事業年度は法人税法上の区切りを指します。ただし、ほとんどの法人では両者が一致するように設定されています。
会計期間を決めるときのポイント
会計期間は会社ごとに自由に設定できますが、決定する際はいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
1. 繁忙期を避ける
決算期が繁忙期と重なると、日常業務と決算作業が同時進行となり、ミスが起きやすくなります。業務量の多い時期を避けて設定することが望ましいです。
2. 売上が多い月を期首にする
売上が多い時期を期首に設定しておくと、資金繰りの見通しを立てやすくなり、税務対策の計画も立てやすくなります。
3. 消費税の免税期間を考慮する
新しく設立した法人の場合、最初の事業年度と翌事業年度は原則として消費税が免税されます。設立初期の資金負担を軽減するために、免税期間を最大限に活かせる会計期間の設定が有効です。
4. 経営目標に合わせる
中期的な売上・利益目標を設定している企業では、その目標に合わせて会計期間を決めると、経営管理の一貫性が保てます。
5. 標準的な期間に合わせる
上場企業の多くは3月決算を採用しています。業界慣行や税制改正時期を考慮し、標準的な会計期間を採用するのも一つの方法です。
会計期間は後から変更できる
会計期間は、株主総会の承認や税務署への届出を行うことで変更が可能です。開業時に最適な期間が分からない場合は、まずは標準的な期間を設定し、事業が軌道に乗ってから見直しても問題ありません。
法人設立時に必要な手続き
法人を設立する際は、定款や登記の段階で会計期間を決める必要があります。設定後に変更した場合は、所轄の税務署へ事業年度変更届を提出することを忘れないようにしましょう。
まとめ
会計期間とは、企業の経営状況を正確に把握するために区切る一定の期間のことです。事業年度とほぼ同義で使われますが、会計上と税法上で意味合いが少し異なります。
繁忙期の回避や免税期間の活用などを意識して設定することで、より効率的な経営とスムーズな決算が実現します。
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