個別対応方式とは

個別対応方式とは?仕入税額控除の計算方法をわかりやすく解説

消費税の仕入税額控除を計算する際、「個別対応方式」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、個別対応方式の意味・計算方法・一括比例配分方式との違いを、会計初心者にもわかりやすく解説します。

🔍 個別対応方式とは?

個別対応方式(こべつたいおうほうしき)とは、
企業の課税売上
非課税売上に対応する仕入れをそれぞれ区分し、
利益と経費の対応関係を直接認識する方法です。

企業が課税事業者として消費税を納める際、
もし課税売上割合が95%未満の場合は、
仕入税額控除の計算方法として「個別対応方式」か「一括比例配分方式」のいずれかを選択する必要があります。


💡 仕入税額控除とは?

仕入税額控除とは、事業で仕入れた商品やサービスなどに含まれる消費税(仕入税額)を、
売上にかかる消費税(預り消費税)から控除できる制度
です。

この制度により、二重課税を防ぎ、事業者の負担を軽減する仕組みになっています。

🧾 個別対応方式の区分と計算方法

個別対応方式では、仕入れにかかる消費税を次の3つに分類して計算します。

区分 内容 控除の取扱い
① 課税売上にのみ対応する仕入れ 課税売上に直接使うもの(例:販売用商品など) 全額控除可
② 非課税売上にのみ対応する仕入れ 非課税売上に直接使うもの(例:住宅家賃収入に係る修繕費など) 控除不可
③ 共通対応の仕入れ 課税・非課税売上の両方に関連するもの(例:光熱費・通信費など) 課税売上割合で按分して控除

このように、個別対応方式では**「どの売上に関連する支出か」**を明確に区分する点が特徴です。

⚖️ 一括比例配分方式との違い

もう一つの方法「一括比例配分方式」では、
仕入れ全体の消費税を課税売上割合に基づいて一律に按分して控除します。

比較項目 個別対応方式 一括比例配分方式
特徴 売上との対応関係を直接認識 全体を割合で按分
計算精度 高い(正確) おおまか(簡易)
事務負担 やや多い 少ない
控除額 多くなる傾向 少なくなる傾向

そのため、**控除額を最大化したい場合は「個別対応方式」**を選択する方が有利になるケースが多いです。

🧮 課税売上割合の求め方

課税売上割合は、以下のような基準で算定されます。

  • 売上高の内訳

  • 従業員数の割合

  • 床面積の使用割合

  • 取引件数の比率 など

これらをもとに、課税売上が全体のどれだけを占めるかを算出します。

🏁 まとめ:個別対応方式は「精度重視の計算方法」

項目 内容
対象 課税売上割合が95%未満の事業者
方法 売上ごとに対応する仕入れを区分
メリット 控除額を正確に計算できる
デメリット 区分作業に手間がかかる

消費税の申告を正確に行うためには、
自社の売上構成や取引内容をよく分析し、
「個別対応方式」または「一括比例配分方式」のどちらが適しているかを慎重に選択することが大切です。

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