債務超過とは

債務超過とは?意味や原因、解消方法までやさしく解説

企業の経営状態をチェックするうえで欠かせないのが「債務超過」という概念。ニュースで耳にすることはあっても、実務ではきちんと理解できていない経営者や経理担当の方も多いんです。

この記事では、債務超過の仕組み、赤字との違い、貸借対照表での確認方法、さらに解消するための具体策までわかりやすく整理しています。財務の状況を正しく読み解き、誤った判断を避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

債務超過とは?

債務超過とは「会社の負債が資産を上回っている状態」を指します。
貸借対照表でいえば、次の式が当てはまる状態です。

資産 < 負債
= 純資産(自己資本)がマイナス

たとえば、事業に必要な設備や商品をすべて売却しても、借入金や未払費用が返しきれないようなイメージです。

ただし「債務超過=即倒産」というわけではありません。返済期限が先の負債が含まれていたり、当面の支払いに足りるキャッシュがある場合、事業は継続可能です。

実際、中小企業庁の調査では、中小企業の約3割が債務超過の状態で運営を続けているというデータもあります。

債務超過が意味する企業の状況

負債が資産を超えているということは、会社の“蓄え”である純資産が不足している状態です。

長く放置してしまうと次のようなデメリットが広がります。

・銀行からの融資が受けにくくなる
・取引先からの信用が低下する
・上場会社の場合は上場廃止の対象になる
・追加投資や新規事業の判断が難しくなる

信用力の低下は、資金調達や取引に直結します。経営の自由度を下げないためにも、早めの対策が必要です。

すぐに倒産するのはどんな状態?

よく誤解されますが、「債務超過=危険な状態」よりももっと深刻なのが「資金ショート」です。

資金ショートは、支払期限までにお金が用意できない状態。
借入金の返済、仕入代金、給料、税金など、支払いの約束を守れないと、どんなに黒字でも倒産につながります。

赤字かどうかより、キャッシュが回るかどうかの方がはるかに重要というわけですね。

赤字と債務超過の違い

赤字と債務超過は似ているようで別モノです。

赤字=一定期間の収益より費用が多い状態
債務超過=資産より負債が多い状態(純資産がマイナス)

赤字でも手元資金が十分なら倒産しませんし、逆に黒字でもお金が足りなければ「黒字倒産」が起こります。

特に中小企業では、売掛金の入金サイトが長い、未回収の売掛金が多いなどの理由で黒字倒産するケースが少なくありません。

債務超過に陥る主な原因

債務超過が起きる背景には、次のようなパターンがあります。

・赤字経営が続き、利益剰余金が減り続けている
・不動産や株式の評価損が発生した
・災害などによる特別損失が発生した
・設備投資のために借入をしたが、投資回収がうまくいかない

どれも企業活動では起こり得るものなので、経営状態の点検を定期的に行うことが重要です。

債務超過かどうかを貸借対照表で判断する方法

判断はシンプルで、次の計算だけで確認できます。

資産合計 - 負債合計
→ プラスなら健全、マイナスなら債務超過

ただし「現金化しにくい資産が多い企業」や「含み損を抱えた資産がある企業」は、数値だけでは正しく判断できません。
その場合、実態に近づけた“実態貸借対照表”を作成し、時価を反映したうえで純資産を再計算します。

債務超過を解消する方法

状況によって可能な手段は変わりますが、代表的な方法は次のとおりです。

● 利益を積み上げる
収益改善やコスト削減、事業整理などを行い、利益を確保して純資産を増やします。

● 増資を行う
株主や第三者から出資を受けて資本金や資本剰余金を増やす方法です。

● DES(デットエクイティスワップ)
借入金を株式に振り替えることで、負債を圧縮する方法。

● 債務免除を受ける
金融機関や関係会社が返済義務を一部放棄するケース。

● 会社再生法や会社更生法
経営再建が必要な場合は、法的手続を活用して負債圧縮や事業再構築を進めることもあります。

まとめ

債務超過は財務の健全性を示す重要な指標ですが、必ずしも直ちに倒産を意味するわけではありません。ただし、信用力の低下や資金調達の制約といった影響は避けられません。

貸借対照表を正しく読み、定期的に財務をチェックすることで、リスクを早期に察知できます。経営判断に役立てるためにも、数字の意味を正しく理解しておきましょう。

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