損害保険の契約内容を確認していると、「全部保険」という言葉を目にすることがあります。
これは保険の基本的な考え方のひとつで、万が一の事故時に受け取れる保険金額に直結する重要な用語です。
この記事では、保険の専門家として、全部保険の意味、特徴、一部保険・超過保険との違いをわかりやすく解説します。
全部保険とは?
全部保険とは、保険金額(契約時に設定する保険の限度額)が、保険の対象物の価額(実際の価値)と同じ場合をいいます。
-
保険金額 = 保険対象の価額(時価)
この場合、事故や災害で損害が発生したときは、損害額に応じて全額保険金が支払われるのが特徴です。
具体例
たとえば、時価200万円の自動車に対して、保険金額も200万円で契約した場合、事故で100万円の損害が出れば100万円、全損になれば200万円が保険金として支払われます。
関連用語との違い
1. 一部保険
一部保険とは、保険金額が保険対象物の価額よりも少ない場合の契約です。
例)時価1,000万円の建物に対して、保険金額を500万円に設定。
この場合、損害額が100万円でも、保険金額の時価に対する割合で減額されて支払われます(比例てん補)。
2. 超過保険
超過保険とは、保険金額が保険対象物の価額を上回っている場合の契約です。
例)時価500万円の機械に対して、保険金額を800万円に設定。
しかし、損害保険では保険金による利得は禁止されているため、超過分は無効となり、実際の価額までしか支払われません。
全部保険のメリット
-
損害額がそのまま保険金として支払われやすい
-
一部保険のような減額支払いがない
-
補償内容がわかりやすい
注意点
-
契約時には対象物の正確な価額評価が必要
-
時価が変動する資産(自動車、機械など)では、定期的な見直しが必要
-
超過保険にしないよう注意
まとめ
-
全部保険は、保険金額が対象物の価額と同じ契約
-
損害額に応じて、実損分が支払われる
-
関連用語に一部保険(保険金額<価額)、超過保険(保険金額>価額)がある
-
適正な保険金額の設定が、補償の質と保険料のバランスを左右する
さらに参照してください: