企業活動や税務の世界でよく出てくる「内国法人」という言葉。法人税や国際課税を理解するうえで重要な概念です。
この記事では、内国法人の定義、外国法人との違い、課税の仕組み、さらに特定内国法人について初心者にもわかりやすく解説します。
内国法人とは
内国法人とは、日本国内に本店や主たる事務所を有する法人のことを指します。法人税法上では、内国法人は次の5つに分類されます。
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公共法人
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公益法人等
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人格のない社団等
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協同組合等
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普通法人
一般的には、日本の法律に従って設立された法人も内国法人と呼ばれます。
内国法人と外国法人の違い
法人税の納税義務者は原則として個人ですが、法人も例外として課税対象になります。その際、法人は課税範囲によって次の2つに分類されます。
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内国法人:本店または主たる事務所が日本にある法人
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外国法人:内国法人以外の法人
課税範囲の違い
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内国法人:国内外で得たすべての所得が課税対象となる「全世界所得課税主義」が適用されます。海外で支払った税金は、一定範囲で控除できる「外国税額控除方式」が利用可能です。
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外国法人:日本国内で生じた所得(国内源泉所得)のみ課税されます。
この仕組みにより、内国法人は世界中で得た利益に対して税務申告が必要になりますが、外国法人は日本国内の利益だけが対象になります。
特定内国法人とは
「特定内国法人」とは、内国法人のうち、国外に事業所や一定の拠点を持つ法人を指します。特定内国法人の場合、国内と国外に帰属する付加価値額を分けて計算する「区分計算」が原則です。
区分計算のポイント
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報酬給与額
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純支払利子
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純支払賃借料
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単年度損益
これらを国内と国外に分けて計算します。区分計算が難しい場合は、国内と国外の従業員数を基準に按分して算定します。
まとめ
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内国法人は日本国内に本店・主たる事務所を持つ法人で、全世界所得課税の対象となります。
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外国法人は日本以外の法人で、日本国内の所得のみ課税対象です。
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特定内国法人は、国内外で事業を行う内国法人で、付加価値額の区分計算が必要です。
内国法人と外国法人の区別や課税制度を理解することは、国際取引や法人税申告の基礎になります。特に海外事業を展開する法人にとっては、正確な理解が重要です。
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