契約書や領収書を発行するときに「印紙を貼る必要があります」と言われた経験はありませんか?
この「印紙税」は、日本で文書(契約書など)を作成する際に課される税金で、その根拠となる法律が印紙税法(いんしぜいほう)です。
この記事では、印紙税法の基本から、課税対象となる文書、印紙の金額、そして貼り忘れた場合の罰則まで、初心者にもわかりやすく解説します。
🔹 印紙税法とは?
印紙税法とは、印紙税の課税対象・納税義務者・税率・納付方法などを定めた日本の法律です。
初めて制定されたのは1899年(明治32年)で、のちに1967年(昭和42年)に全面改正され、現在の形になりました。
印紙税の目的は、取引の証拠となる文書に課税することで、経済活動から税収を得ることにあります。
つまり、契約書や領収書など「お金の動きを証明する書類」を作るときに発生する税金です。
🔹 印紙税が課される文書の種類(課税物件)
印紙税が課される文書(=課税文書)は、印紙税法別表第一で定められています。
全部で1号から20号までの区分があり、主に次のような文書が対象です。
区分 | 主な課税文書 | 例 |
---|---|---|
第1号文書 | 不動産や金銭の譲渡に関する契約書 | 売買契約書、譲渡契約書など |
第2号文書 | 請負に関する契約書 | 工事請負契約書、制作委託契約書など |
第3号文書 | 領収書 | 売上金の受取書など |
第7号文書 | 金銭消費貸借契約書 | 借用書、金銭貸付契約書など |
このように、取引内容に応じて印紙税の金額が異なります。
🔹 印紙の金額(税率)
印紙税の金額は文書の種類と金額に応じて変わります。
たとえば、契約金額が高くなるほど印紙税も高くなる仕組みです。
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最小:200円
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最大:60万円
例えば、1,000万円の工事請負契約書を作成する場合は、印紙税2万円が課されます。
(参考:国税庁「印紙税額一覧表」)
🔹 印紙を貼り忘れた場合のペナルティ(過怠税)
印紙を貼らずに契約書などを作成した場合、「過怠税(かたいぜい)」が課されます。
これは、納付漏れに対して課せられる罰金のような税金です。
過怠税の金額は以下のように定められています。
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自主的に申し出た場合:本来の印紙税額の 1.1倍
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税務調査などで指摘された場合:本来の印紙税額の 3倍
つまり、印紙を貼り忘れると、最大3倍の過怠税を支払うことになるため注意が必要です。
🔹 印紙税の納付方法
印紙税の納付は、次の2通りの方法があります。
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印紙を購入して文書に貼付し、消印を押す
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電子文書の場合は電子申告・納付システムで納付
契約書を電子化している企業は、電子契約サービス(クラウドサインなど)を利用することで、印紙税が不要になるケースもあります。
(※電子文書には印紙税が課されないため)
🔹 まとめ:印紙税は「取引の証拠となる文書」に課される税金
印紙税法は、取引の公正さを担保し、国の財政にも寄与する大切な制度です。
しかし、印紙の貼り忘れや金額の誤りは、思わぬ過怠税につながるおそれがあります。
契約書や領収書を作成する際は、必ず印紙税の対象か確認する習慣をつけましょう。
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