厚生年金基金とは

厚生年金基金とは 制度の仕組みと役割、現在の状況をわかりやすく解説

「厚生年金基金(こうせいねんきんききん)」という言葉を耳にしたことはありますか?
かつては企業が従業員の老後をより手厚く保障するために設けられていた制度ですが、現在は新規設立ができなくなっており、将来的には縮小・廃止が進んでいく仕組みです。

本記事では、厚生年金基金の仕組みや特徴、そして現在の状況までを初心者にもわかりやすく解説します。

厚生年金基金とは?

厚生年金基金 は、昭和41年(1966年)に発足した制度で、企業が単独または共同で設立する「公法人」です。

この制度の大きな役割は2つあります。

  1. 老齢厚生年金の一部を国に代わって支給すること
    → いわゆる「代行部分」と呼ばれます。

  2. 企業の実情に応じて独自の上乗せ給付を行うこと
    → 企業年金としての性格を持ち、従業員の老後をより手厚く保障する仕組み。

つまり、厚生年金基金は「国の年金+企業独自の上乗せ給付」を組み合わせて支給する制度だったのです。

厚生年金基金の仕組み

従業員が加入することで、将来の年金は次のように構成されます。

  • 国の老齢基礎年金(すべての人が受け取れる年金)

  • 老齢厚生年金(代行部分は基金が支給)

  • 基金独自の上乗せ給付

これにより、従業員は国の年金だけよりも高い水準の年金を受け取れる可能性がありました。

制度改正と現在の状況

しかし、少子高齢化や運用環境の悪化により、厚生年金基金は次第に制度維持が難しくなっていきました。

そのため、平成25年(2013年)の法改正 により、以下のように見直されました。

  • 新規の設立は禁止

  • 既存の基金は順次解散・移行へ

  • 今後は「確定給付企業年金」や「確定拠出年金」など、他の企業年金制度が中心に

つまり、現在では厚生年金基金は「過去の制度」となりつつあり、利用者は徐々に減少しています。

厚生年金基金のメリットと課題

メリット

  • 国の年金に「上乗せ」できるため、老後の生活が安定しやすい

  • 企業が従業員の福利厚生を充実させる手段になった

課題

  • 運用難や財政悪化で基金の存続が困難に

  • 加入者の将来不安を招くケースも

 

まとめ

  • 厚生年金基金 とは、国の老齢厚生年金の一部を代行し、さらに上乗せ給付を行うために企業が設立した制度。

  • 昭和41年に発足し、従業員の老後保障を手厚くする仕組みだった。

  • 平成25年の法改正により 新規設立は禁止、今後は縮小・廃止が進んでいく。

  • 現在は「確定給付企業年金」「確定拠出年金」などが後継制度として広がっている。

さらに参照してください:

厚生年金基金連合会とは?企業年金連合会への移行と役割をわかりやすく解説