固定資産売却益とは

固定資産売却益とは?減価償却費の仕訳や税金計算までわかりやすく解説

会社で不動産や車、機械などの固定資産を売却する際、「売却益はどう計上するのか」「減価償却費はどう処理するのか」と悩む経理担当者の方は多いでしょう。

本記事では、固定資産売却益の仕組みや減価償却費の計算・仕訳方法、さらには譲渡所得税の計算まで、初心者でも理解できるように具体例を交えて解説します。

目次

  1. 固定資産売却益とは

  2. 減価償却とは?基本の考え方

  3. 固定資産売却時の減価償却費の計算方法

  4. 売却時の仕訳例

  5. 不動産売却時にかかる譲渡所得税

  6. 固定資産管理の効率化

 

1. 固定資産売却益とは

固定資産売却益とは、土地・建物・車両運搬具・機械装置などの固定資産を帳簿価格より高く売却したときに発生する利益のことです。

  • 例:帳簿価格800万円の機械を900万円で売却 → 売却益100万円

  • 固定資産売却益は、企業会計上「特別利益」として計上され、通常の営業活動とは別に扱われます。

  • 手数料などの売却にかかる経費は、売却益から差し引くことが可能です。

※無形固定資産や投資目的の有価証券は含まれません。

2. 減価償却とは?基本の考え方

減価償却とは、固定資産の購入費用を耐用年数にわたって分割して経費計上する会計処理です。
これにより、購入した年だけでなく、資産を使用する期間全体で費用を配分できます。

  • 減価償却費:毎年費用として計上される金額

  • 定額法:毎年同額を償却

  • 定率法:毎年残額の一定割合を償却

資産の種類に応じてどちらの方法を使うかが決まります。建物や構築物は定額法で計算されるのが一般的です。

3. 固定資産売却時の減価償却費の計算方法

期中に固定資産を売却する場合は、所有期間に応じて按分して減価償却費を計上します。

計算例(定額法)

減価償却費 = 購入代金 × 0.9 × 償却率 × 所有期間(年)

計算例(定率法)

減価償却費 = (取得価額 − 減価償却累計額) × 定率法の償却率

例:100万円で購入、減価償却累計30万円の資産を90万円で売却 → 売却益20万円

4. 売却時の仕訳例

売却益が出た場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
現金 900,000円 固定資産 1,000,000円 固定資産売却
減価償却累計額 300,000円 固定資産売却益 200,000円 売却益計上

売却損が出た場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
現金 600,000円 固定資産 1,000,000円 固定資産売却
減価償却累計額 200,000円 固定資産売却損 200,000円 売却損計上

5. 不動産売却時にかかる譲渡所得税

マンションや家などの不動産を売却して得た利益は譲渡所得として課税されます。計算手順は以下の通りです。

  1. 減価償却費を計算

  2. 取得費を計算(購入費用+購入時諸経費−減価償却費)

  3. 譲渡所得を計算(売却価格−取得費−譲渡時諸費用)

  4. 譲渡所得税を計算(所得税+住民税)

税率例

  • 短期譲渡(所有5年以下):39.63%

  • 長期譲渡(所有5年超):20.315%

 

6. 固定資産管理の効率化

固定資産の数が多いと、表計算ソフトでの管理は手間がかかります。
クラウド型の固定資産管理システムを導入することで、以下のメリットがあります。

  • 複数台帳管理や月次締めが簡単

  • 写真や証憑と紐付けて資産情報を一括管理

  • 償却資産税申告書や法人税別表の帳票作成が効率化

 

まとめ

  • 固定資産売却益は帳簿価格を上回った際に発生する特別利益

  • 減価償却費は所有期間に応じて按分し、売却時の仕訳で計上

  • 不動産売却は譲渡所得税の計算が必要

  • クラウド管理システムを活用すると経理業務が大幅に効率化

固定資産の売却や減価償却は初心者には少し難しく感じられますが、仕組みを理解し、正しく仕訳・税務計算できれば、経理業務の精度と効率を大きく向上させることができます。

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