企業が事業を拡大したり、新しい設備を導入したりするには「資金」が必要です。
このときに自社の手元資金だけでは足りない場合、外部からお金を調達する方法があります。
これが、「外部資本(がいぶしほん)」です。
本記事では、外部資本の意味から内部資本との違い、代表的な調達方法、そして経営上の注意点まで、会計の専門家が初心者にもわかりやすく解説します。
🔹 外部資本とは?(基本の意味)
外部資本とは、企業が株主以外の外部者から調達した資金のことを指します。
具体的には、次のような方法によって得られる資金が外部資本です。
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銀行などの金融機関からの借入金
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社債の発行による調達
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買掛金・支払手形など、取引先との信用取引による資金
つまり、「自社で生み出した資金」ではなく、他人(外部)から一時的に借りている資金ということになります。
このため、外部資本は別名「他人資本(たにんしほん)」とも呼ばれます。
🔸 内部資本との違い
外部資本と対になるのが、内部資本(ないぶしほん)です。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 区分 | 内容 | 主な例 | 返済義務 |
|---|---|---|---|
| 外部資本 | 外部から借りた資金 | 借入金、社債、買掛金など | あり |
| 内部資本 | 会社自身が保有する資金 | 利益剰余金、資本金など | なし |
たとえば、会社が過去の利益を再投資する場合は内部資本ですが、
銀行から融資を受ける場合や社債を発行する場合は外部資本にあたります。
💰 外部資本の代表的な調達方法
外部資本を増やす方法にはいくつか種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
① 銀行借入(間接金融)
銀行などの金融機関から資金を借りる方法です。
もっとも一般的な外部資金調達手段であり、金利を支払う義務があります。
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メリット:比較的短期間でまとまった資金を調達できる
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デメリット:利息負担があり、返済義務が発生する
② 社債の発行(直接金融)
投資家に社債(会社の借用証書)を発行して資金を集める方法です。
大企業や上場企業が採用するケースが多いです。
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メリット:銀行に頼らずに資金調達が可能
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デメリット:信用力が必要で、発行コストがかかる
③ 企業間信用(買掛金・支払手形)
取引先との信頼関係を利用し、支払いを一定期間待ってもらう方法です。
仕入代金を後払いにすることで、実質的に資金を借りている状態になります。
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メリット:利息負担がない場合もある
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デメリット:支払い遅延が信用リスクになる可能性
⚖️ 外部資本を活用する際の注意点
外部資本を活用すれば、手元資金がなくても事業拡大が可能になりますが、同時にリスクも伴います。
● デメリット・リスク
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利息や元本の返済が経営を圧迫する
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借入が多いと財務安全性(自己資本比率)が低下する
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金利上昇時に返済負担が増える可能性がある
このため、外部資本に依存しすぎると倒産リスクが高まる点に注意が必要です。
理想は、外部資本と内部資本のバランスを取った資本構成(キャピタル・ストラクチャー)を保つことです。
📊 外部資本比率とは?(財務健全性の目安)
企業の資本構成を分析する際に使われるのが「外部資本比率」です。
計算式は次の通りです。
外部資本比率 = 他人資本 ÷ 自己資本 × 100(%)
たとえば、借入金などの他人資本が多い企業ほど、返済リスクが高くなります。
一般的に、外部資本比率が100%を超える場合は、負債依存度が高く、財務体質の改善が求められます。
✅ まとめ:外部資本をうまく使い、健全な経営を目指そう
外部資本とは、銀行や投資家などの外部から借り入れた資金のことであり、
「他人資本」とも呼ばれます。
借入金・社債・買掛金などの形で調達できますが、返済義務があるため、使い方次第で経営リスクにもなり得ます。
したがって、外部資本を増やす際は以下の3点を意識しましょう。
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借入金の返済能力を確認する
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内部資本とのバランスを取る
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財務指標(外部資本比率など)を定期的に分析する
堅実な資金計画とバランスの取れた資本構成こそが、企業の持続的な成長と安定経営の鍵となります。
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