簿記や決算の勉強を始めると「大陸式決算法」と「英米式決算法」という言葉が出てきます。普段の実務では英米式を使うケースが圧倒的に多いですが、仕組みを理解しておくと決算の全体像がつかみやすくなります。
この記事では、大陸式決算法の特徴、基本的な流れ、英米式との違いを初心者向けにわかりやすくまとめました。
大陸式決算法とは
大陸式決算法とは、複式簿記における決算手続の方法のひとつで、決算の際に「決算残高勘定」という集合勘定を使ってすべての勘定科目を締め切る方式です。
日本の企業会計では英米式決算法が一般的ですが、決算の仕組みを学ぶうえで大陸式はとても体系的で理解が深まりやすい方法でもあります。
大陸式決算法の基本的な考え方
大陸式の最大の特徴は、決算における振替作業を一つの集合勘定に集約する点です。
・費用と収益は「損益勘定」に振替
・資産、負債、資本(純資産)は「決算残高勘定」に振替
・振替後、貸方・借方の合計が一致したら締切を行う
この決算残高勘定は、翌期の開始残高の基礎にもなるため、繰越試算表の役割を持っています。そのため、大陸式決算法では繰越試算表を作成する必要がありません。
また、大陸式には二つの種類があります。
・純大陸式
開始残高勘定と閉鎖残高勘定の両方を使う
・簡便法(準大陸式)
閉鎖残高勘定のみを使う
簿記の学習書でもこの分類がよく登場します。
英米式決算法との違い
大陸式と英米式の違いが特に大きいのは「締切方法」と「開始残高の扱い」です。
英米式は集合勘定を使用せず、資産・負債・純資産といった主要勘定を総勘定元帳の中で直接締め切ります。
そのため、決算時に貸借一致を確認する手段として「次期繰越」を用います。次期繰越が確定すると、それを基に貸借対照表が作成されます。
一方、大陸式は決算残高勘定という集合勘定があるため、仕訳帳上で決算振替仕訳をまとめて行い、貸借が一致したかどうかを明確に確認できます。
まとめると、
・大陸式: 決算残高勘定で一括管理、繰越試算表不要
・英米式: 集合勘定なし、次期繰越を基に貸借対照表を作成
という違いがあります。
初心者がつまずきやすいポイント
例えば簿記3級や2級を勉強している人が混乱しがちなのは「大陸式では繰越試算表を作らなくていい理由」です。
実務でも学習でも、決算後は各勘定科目の残高を一覧で確認したくなりますよね。しかし大陸式では、決算残高勘定そのものが翌期首残高のまとめ表になっているため、繰越試算表とほぼ同じ働きをしているのです。
まとめ
大陸式決算法は、決算作業を集合勘定にまとめることで全体を見やすくする方式です。日本の企業会計では英米式が一般的ですが、両者の仕組みを理解しておくと帳簿の構造がぐっとわかりやすくなります。
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