月額変更届とは

月額変更届とは?標準報酬月額の見直しと随時改定の仕組みを解説

会社員や公務員として働く人が加入している 厚生年金保険・健康保険 では、毎月の保険料や将来の年金額を決める基準となるのが 標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく) です。

この標準報酬月額は、通常は年1回「算定基礎届」で見直されますが、給与に大きな変動があった場合には、月額変更届(げつがくへんこうとどけ) を提出して、早めに修正される仕組みがあります。これを 随時改定(ずいじかいてい) と呼びます。

本記事では、月額変更届の仕組み・提出の必要があるケース・注意点について分かりやすく解説します。

月額変更届とは?

月額変更届とは、被保険者(従業員)の 基本給や各種手当などの固定的賃金 が変動し、その結果、3か月間の平均給与額から計算される標準報酬月額が 2等級以上変わった場合 に提出する届出書です。

これにより、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定され、保険料が速やかに現状の給与に見合ったものへと修正されます。

随時改定の仕組み

標準報酬月額を見直す手続きの中で、給与の変動に合わせて行うものを 随時改定 といいます。

  • 通常の改定(定時決定)
    → 毎年7月に算定基礎届を提出し、4〜6月の給与から標準報酬月額を決定

  • 随時改定(臨時の見直し)
    → 給与が大きく変わったときに月額変更届を提出し、3か月平均の給与額に基づき標準報酬月額を改定

これにより、給与の変化に応じて社会保険料が適正に反映される仕組みになっています。

月額変更届が必要となるケース

月額変更届を提出するのは、以下のようなケースです。

  • 昇給や降給などで 基本給が変更 された場合

  • 通勤手当などの 固定的な手当が増減 した場合

  • 上記の変更により、3か月間の給与平均から算定される標準報酬月額が 2等級以上変動 した場合

一方で、以下のようなケースでは月額変更届は必要ありません。

  • 残業や休日出勤の増減によって給与が変動しただけの場合

  • 賞与(ボーナス)による一時的な変動

 

月額変更届の提出期限と提出先

  • 提出期限:給与変動から3か月が経過した後、速やかに提出

  • 提出先:事業所の所在地を管轄する 年金事務所

  • 提出方法:紙での届出、または電子申請(e-Gov、社会保険手続きソフトなど)

事業主が行う義務があるため、従業員自身が手続きする必要はありません。

実際の事例

例えば、基本給が20万円から25万円に昇給した場合を考えます。
その後3か月の平均給与額から算定される標準報酬月額が、以前の等級より2等級以上上がっていれば、月額変更届を提出し、新しい等級で保険料が計算されます。

これにより、給与に応じた適切な厚生年金保険料・健康保険料が反映され、将来の年金額にも影響します。

まとめ

  • 月額変更届 とは、給与の変動で標準報酬月額が大きく変わったときに提出する届出

  • 随時改定 により、定時決定を待たずに社会保険料を見直せる

  • 対象は「基本給や固定手当の変更」であり、残業代や賞与は対象外

  • 提出は事業主が行い、従業員は手続きをする必要なし

標準報酬月額は、毎月の社会保険料だけでなく将来の年金額にも直結する大切な仕組みです。給与に大きな変動があった場合には、正しく月額変更届が提出されているかを確認しておくと安心です。

さらに参照してください:

現物給与とは?厚生年金や健康保険での扱いと計算方法をわかりやすく解説