企業会計や経理業務でよく出てくる「未払費用」という言葉。聞いたことはあるけれど、仕訳の仕方や未払金との違いがよくわからない…という方も多いでしょう。この記事では、未払費用の基本的な考え方から仕訳例まで、初心者でも理解できるよう丁寧に解説します。
未払費用を正しく理解することで、決算時の損益計算や貸借対照表の作成がスムーズになります。未払金との違いも明確にして、日常の経理業務に役立てましょう。
未払費用とは?
未払費用とは、契約に基づき役務の提供を受けているにもかかわらず、貸借対照表日の時点でまだ支払いが行われていない費用を指します。
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貸借対照表では流動負債として計上
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損益計算書では、役務提供に応じた費用を計上
つまり、サービスは受けているが支払いはまだ、という状態を「負債」として一時的に記録する勘定科目です。
未払費用の考え方
「サービスを受けているけれど支払いはまだ」という状態をイメージするとわかりやすいです。
例:保険料の場合
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保険契約:9月1日~翌年8月31日(年額12万円)
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決算日:3月31日
3月31日時点では7か月分の保険サービスを受けています。支払いはまだですが、**「7か月分の費用=7万円」**を未払費用として計上します。
例:家賃の場合
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3月分の家賃30万円が翌月に支払われる場合
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3月31日時点で30万円を未払費用として計上
サービスや役務の提供を受けている期間に応じて費用を計上するのがポイントです。
未払費用の具体例
未払費用に該当する代表例は以下の通りです:
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未払家賃
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未払手数料
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未払利息
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保険サービス料金
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リース料
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従業員給与
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毎月の通信費
未払費用と未払金の違い
未払費用と未払金は似ているようで区別が重要です。
| 状況 | 区分 | 例 |
|---|---|---|
| 継続的な役務提供契約にもとづく未払分 | 未払費用 | 家賃、保険料、リース料 |
| 一度きりの取引で役務提供が完了している未払分 | 未払金 | 備品購入費、広告費、修理費 |
ポイント:
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未払費用 → サービスがまだ提供中で費用が発生している
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未払金 → 費用が確定して支払義務が確定している
未払費用の仕訳の考え方
未払費用の仕訳は、決算日までに発生した費用を正確に計上することが目的です。
仕訳例:保険料
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決算時(3月31日)
借方:保険料 70,000円
貸方:未払費用 70,000円 -
翌期首に振り戻す
借方:未払費用 70,000円
貸方:保険料 70,000円 -
支払時(8月31日)
借方:保険料 120,000円
貸方:普通預金 120,000円
仕訳例:家賃
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決算時の未払計上
借方:地代家賃 250,000円
貸方:未払費用 250,000円 -
翌期首に振り戻す
借方:未払費用 250,000円
貸方:地代家賃 250,000円 -
支払時
借方:地代家賃 250,000円
貸方:普通預金 250,000円
まとめ
未払費用は、決算日までに発生しているが支払いがまだの費用を一時的に流動負債として計上する勘定科目です。
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まだ確定していない費用 → 未払費用
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すでに確定した費用 → 未払金
正しく未払費用を仕訳することで、決算書の信頼性を高め、損益を正確に把握できます。経理業務や税務申告での基本知識としてぜひ押さえておきましょう。
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