株式投資を行う際、「株式益利回り(えきりまわり)」という指標を耳にしたことはありませんか?
この指標は、株価が割安か割高かを判断するための重要な指標であり、投資判断の基礎にもなります。
この記事では、会計と投資の専門家が、株式益利回りの意味・計算方法・長期金利との関係・PERやROEとの違いまでを、図解とともにわかりやすく解説します。
🔹 株式益利回りとは?
株式益利回り(Earnings Yield)とは、株価に対する企業の利益の割合を示す指標です。
簡単にいえば、「株価に対してどれだけ利益を稼いでいるか」を表す“株の利回り”のことです。
計算式は次の通りです:
株式益利回り = 1株当たり純利益(EPS) ÷ 株価 × 100(%)
例えば、1株1000円の株で、1株当たりの純利益が100円であれば、
株式益利回りは 100 ÷ 1000 × 100 = 10% になります。
🔹 株式益利回りでわかること
株式益利回りは、株価が割高か割安かを判断する手がかりになります。
具体的には次のように考えます。
| 株式益利回り | 判断の目安 | 株価の状態 |
|---|---|---|
| 高い(例:8〜10%以上) | 株価が割安 | 投資妙味あり |
| 低い(例:3〜4%以下) | 株価が割高 | 投資リスク高め |
つまり、株式益利回りが高いほど「割安株」と見なされる傾向があります。
逆に、企業の利益に対して株価が高すぎる場合は、益利回りが低くなり、「割高」と判断されます。
🔹 PERとの関係:逆数の関係にある
株式益利回りは、実は**PER(株価収益率)**と表裏一体の関係にあります。
PER = 株価 ÷ 1株当たり純利益
株式益利回り = 1 ÷ PER
たとえば、PERが20倍の企業なら、株式益利回りは
1 ÷ 20 = 0.05(=5%) となります。
このように、PERが高い(=株価が利益に対して高い)ほど、株式益利回りは低くなり、
PERが低いほど株式益利回りは高くなる仕組みです。
🔹 長期金利との比較で見る「株式市場の過熱感」
株式益利回りは、**長期金利(例:10年国債利回り)**と比較することで、
市場全体の過熱度を測ることができます。
| 状況 | 解釈 | 市場の動き |
|---|---|---|
| 株式益利回り > 長期金利 | 株の方が収益性が高い | 株式に資金が流入しやすい |
| 株式益利回り < 長期金利 | 国債の方が有利 | 株式市場の過熱感が収まりやすい |
つまり、株式益利回りが低くなる(株価が上昇する)と、投資家はリスクの低い国債に資金を移す傾向があります。
この関係から、株式益利回りは「株式市場の温度計」とも呼ばれます。
🔹 株式益利回りとROEの違い
株式益利回りと混同されやすいのが ROE(自己資本利益率) です。
どちらも「利益率」に関係しますが、意味合いはまったく異なります。
| 指標 | 計算基準 | 示す内容 |
|---|---|---|
| 株式益利回り | 株価(市場価格) | 投資家の視点で見た「株価に対する利益率」 |
| ROE | 株主資本(帳簿価額) | 企業が株主資本をどれだけ効率的に使ったかを示す |
つまり、ROEは「企業の経営効率」を表し、
株式益利回りは「投資家が株を買うことで得られるリターンの目安」を示します。
両者をあわせて分析することで、“良い企業”かつ“割安な株”を見つけることができます。
🔹 株式益利回りの活用例
✅ 例:A社とB社の比較
| 企業 | EPS | 株価 | 株式益利回り | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| A社 | 200円 | 2,000円 | 10% | 割安 |
| B社 | 150円 | 5,000円 | 3% | 割高 |
このように比較することで、同業他社の中でどの株が割安かを一目で判断できます。
ファンダメンタル分析の基本指標として、多くの投資家が活用しています。
🔹 まとめ:株式益利回りで市場の温度を読む
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 株式益利回り | 株価に対する利益の割合(投資リターン) |
| PER | 株価の割高・割安を示す逆数の関係 |
| ROE | 経営効率を示す企業指標 |
| 長期金利との比較 | 株式市場の過熱度を判断できる |
株式益利回りは、「今の株価が利益に比べて高いか安いか」を判断するためのシンプルかつ強力なツールです。
投資初心者の方でも、PERとあわせて使うことで、より確かな投資判断ができるようになります。
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