金融機関や企業の財務分析に登場するキーワード「直接償却」。
不良債権処理やオフバランスの話とセットで語られることが多いですが、仕組みそのものは意外とシンプルです。
この記事では、直接償却の意味、間接償却との違い、私的整理や法的整理などの具体的な方法まで、初心者でも理解できるよう丁寧に解説します。検索キーワード(直接償却とは、間接償却 違い、不良債権 オフバランス など)も自然に盛り込んでいます。
直接償却とは
直接償却とは、金融機関などの債権者が不良債権を資産から切り離し、損金(費用)として処理する方法のことをいいます。
回収が見込めない債権を帳簿上から完全に消し去る処理のため、貸借対照表には残りません。これを「オフバランス化」とも呼びます。
直接償却として扱われるケースは主に3つ。
・債権放棄(私的整理)
・倒産手続による債権消滅(法的整理)
・債権売却
例えば、貸出先が倒産し、債権の回収が事実上不可能になったと判断されれば、その債権を損失として計上し、帳簿から除去します。これが直接償却です。
直接償却と間接償却の違い
不良債権の処理には「直接償却」と「間接償却」の2種類があります。
間接償却(引当金を使う方法)
・不良債権の発生が見込まれる段階で、貸倒引当金を計上
・将来の損失に備えて費用化しておく
・債権そのものはバランスシート上に残る
つまり「不良債権っぽいけど、まだ完全には回収不能と言えない」という段階での処理です。
直接償却(不良債権を消す方法)
・回収不能と判断した時点で全額を損金処理
・貸借対照表から完全に削除
・オフバランス化により企業の財務状態がクリアに見える
直接償却は「債権の価値がゼロ」と判断した瞬間に一気に消すイメージです。
なぜ直接償却が選ばれることがあるのか?
間接償却は引当金で備えていても、債権自体は帳簿に残り続けます。
そのため外部から見れば「不良債権を抱えたままの金融機関」という印象が残ってしまうことがあります。
一方、直接償却では債権を帳簿から外すため、財務諸表が健全に見えるというメリットがあり、企業価値を高める手段として採用されることがあります。
直接償却の主要な方法
直接償却に該当する代表的な方法は次の3つです。
1. 私的整理(債権放棄)
債権者が一方的に債権を放棄して消滅させる方法。
ただし、安易に放棄すると税務上は損金として認められず、課税対象になってしまう可能性があります。
そのため、
・回収が不可能であることを示す資料
・債務者の財務状況
・破産や再建手続の進行状況
などをしっかり証拠として保管する必要があります。
2. 法的整理(倒産手続)
裁判所の監督下で進められる正式な倒産手続。
・民事再生手続、会社更生手続(再建型)
・破産手続、特別清算(清算型)
法的整理によって債権の大部分がカットされる場合、切り捨てられた金額は直接償却として損金計上されます。
3. 債権売却
不良債権を第三者に売却し、帳簿から切り離す方法。
日本では整理回収機構(RCC)などの公的サービサーに売却するケースが一般的です。
売却額が帳簿価額より低ければ、その差額が損失となります。
まとめ
直接償却とは、回収不能な不良債権を資産から完全に除去し、損金処理する方法です。
・オフバランス化により財務の健全性を明確にできる
・間接償却との違いは「債権を帳簿に残すかどうか」
・私的整理、法的整理、債権売却の3つが主要な方法
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