福利厚生費とは

福利厚生費とは?経費計上の条件・課税対象・具体例まで徹底解説

会社が従業員のために支出する費用にはさまざまな種類があります。その中でも「福利厚生費」は、従業員の生活の安定やモチベーション向上を目的として支出される重要な費用です。正しく理解して経費計上すれば、税負担の軽減にもつながります。

この記事では、福利厚生費の定義や経費計上の条件、課税対象になる場合・ならない場合、具体例までを初心者にもわかりやすく解説します。

福利厚生費とは?

福利厚生費とは、給料や賞与とは別に、会社が従業員のために支出する費用のことです。住宅補助や食事補助、慰安旅行、健康診断費用など、従業員の生活や仕事の質を向上させる目的で支出されます。

ポイントは次の通りです:

  • 従業員のための支出であること

  • 給与や賞与ではないこと

  • 全従業員を対象としていること

  • 社会通念上妥当な金額であること

個人事業主の場合は、家族だけのために支出した場合は福利厚生費にはなりません。家族以外の従業員がいる場合、その従業員のための費用のみ経費計上が可能です。

福利厚生費と交際費の違い

同じ飲食費であっても、対象が従業員か社外の取引先かで勘定科目が変わります:

  • 従業員向け → 福利厚生費

  • 社外向け → 交際費

交際費も損金算入できる場合がありますが、範囲や限度額が定められている点に注意が必要です。

福利厚生費の経費計上条件

福利厚生費として経費計上するためには、次の条件を満たす必要があります:

  1. 賃金ではない

  2. 全従業員が対象

  3. 金額が社会通念上妥当

条件を満たす費用は全額経費計上でき、法人税の計算上も損金として扱われます。

福利厚生費の分類:法定福利費と法定外福利費

福利厚生費は大きく二つに分けられます:

  1. 法定福利費

    • 法律で定められた会社負担の費用

    • 例:社会保険料、労働保険料

  2. 法定外福利費

    • 会社が任意で支出する福利厚生費

    • 例:慰安旅行、社員食堂、社宅補助など

    • 日常的にはこちらを「福利厚生費」と呼ぶことが多いです

 

福利厚生費の課税・非課税対象

課税対象となる場合

  • 一部の従業員のみを対象に支出した場合

  • 社会通念上妥当ではない金額で支出した場合

→ 給与として扱われ、所得税の対象になります。

非課税対象となる場合

  • 全従業員を対象にした費用

  • 社会通念上妥当な範囲の費用

→ 経費計上でき、法人税計算から損金として除外されます。

具体的な福利厚生費の例

福利厚生費に該当する費用

  • 社宅補助:会社負担分は給与として課税されず、差額を経費計上可能

  • 通勤手当:公共交通機関は1か月15万円まで、自家用車・自転車通勤は距離に応じた限度額

  • 出張手当:社会通念上相当な金額で支給

  • 慶弔見舞金:結婚祝金、出産祝金、災害見舞金など

  • 慰安旅行:4泊5日以内で、全社員の50%以上が参加

  • 新年会・忘年会:全社員が参加資格あり、合理的な費用

  • 残業時の食事代:勤務時間外の業務に伴うもので通常範囲

  • 保養所・別荘の利用費:全社員が利用できる場合

  • 健康診断・資格取得費用:全社員が対象で常識的な範囲

福利厚生費に該当しない費用

  • 記念品に添える現金や商品券

  • 無利息・低利息貸付金の利息差額

  • 高額な人間ドック(オプション付や特殊検査含む)

 

福利厚生費の仕訳例

  • 慰安旅行(社員全員参加、費用50万円)

借方:福利厚生費 500,000円
貸方:普通預金 500,000円
  • 忘年会(費用20万円、クレジットカード支払)

借方:福利厚生費 200,000円
貸方:未払金 200,000円

個人事業主の福利厚生費

個人事業主の場合、家族だけの支出は福利厚生費になりません。
従業員がいる場合は、社会保険料、通勤手当、社宅補助、慰安旅行、イベント費用などが対象です。

まとめ

福利厚生費は、従業員の生活向上やモチベーションアップに役立つだけでなく、法人税負担の軽減にもつながる重要な費用です。

経費計上や課税の扱いを正しく理解し、法定福利費との違いや条件を把握することで、企業活動の効率化と税務上のメリットを最大限活用できます。

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