中小企業を経営する上で、取引先の倒産リスクは常に頭を悩ませる問題です。
そんな企業をサポートする制度が「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」です。
本記事では、加入条件や掛金の扱い、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
経営セーフティ共済とは?
経営セーフティ共済は、取引先の倒産による中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済制度です。法人・個人事業主ともに加入でき、掛金は法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費として扱えます。
特徴としては以下の通りです:
-
無担保・無保証で、掛金の最大10倍まで借入れ可能
-
掛金は損金または必要経費として節税効果がある
-
掛金納付期間が40ヶ月以上で、解約時に掛金全額が戻る
経営セーフティ共済の加入資格
中小企業者の条件
業種ごとに資本金や従業員数の条件が設定されています。
| 業種 | 資本金・出資額 | 常時従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業など | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業・サービス業 | 5,000万円以下 | 50〜100人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
※組合の場合や特殊業種の条件は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構の公式情報を確認してください。
加入できないケース
-
医療法人・NPO法人・外国法人
-
不動産業や金融業など売掛債権が発生しない業種
-
所得税や法人税の滞納者
-
重複加入や事業内容が不明瞭な場合
経営セーフティ共済の掛金と手続き
-
掛金は月額 5,000円~200,000円(5,000円単位)
-
後から金額変更も可能(減額は事業縮小や経営悪化時のみ)
-
前納制度もあり、利息相当額として前納減額金が計上されます
必要書類には、契約申込書、預金口座振替申出書、商業登記簿謄本、確定申告書、納税証明書などがあります。
加入手続きはオンラインでも可能で、金融機関や組合の窓口を通して行えます。
経営セーフティ共済のメリット
1. 無利子・無担保で共済金を借入れ可能
取引先の倒産で売掛金が回収できなくなった場合、掛金の最大10倍まで無利子・無担保で融資を受けられます。返済期間も5〜7年で、6ヶ月間の措置期間があります。
2. 解約時に掛金が戻る
掛金納付月数に応じて解約手当金が支払われます。40ヶ月以上納付すれば、掛金全額が返還されます。
3. 一時貸付金で臨時資金も確保
取引先の倒産に限らず、急な資金需要時には掛金納付月数に応じて、最大で解約手当金の95%まで貸付可能です。
4. 相続・事業承継も可能
個人事業主の死亡や法人の合併・分割などの場合、一定条件を満たせば契約を承継できます。
5. 税制上のメリット
掛金は損金または必要経費として計上できるため、節税効果があります。ただし、解約後2年間は再加入しても掛金の損金算入はできませんので注意が必要です。
経営セーフティ共済のデメリット
-
借入金額の10%が積立金から控除される
-
掛金納付期間が40ヶ月未満で解約すると元本割れ
-
解約手当金は課税対象(益金または事業所得)
-
解約後2年間は掛金が損金にならない
まとめ:中小企業のリスク対策として有効
経営セーフティ共済は、取引先倒産リスクへの備えと節税効果の両方が期待できる制度です。一方で、掛金納付期間や解約時の課税扱いなど、注意すべき点もあります。
加入を検討する際は、自社の経営状況や資金計画に合わせて最適な掛金額や加入期間を設定することが重要です。
さらに参照してください:

