企業の財務諸表を分析する際、「臨時差益」という言葉を目にすることがあります。
しかし、経営初心者や会計に詳しくない方にとっては、意味や具体的な扱いが分かりにくい用語かもしれません。
本記事では、臨時差益の定義から具体例、損益計算書上での取り扱いまで、わかりやすく解説します。
臨時差益とは?
臨時差益とは、経常的な経営活動では発生しない、一時的かつ特殊な原因によって生じた利益や損失のことを指します。
簡単に言えば、「通常のビジネス活動からは予想できない特別な利益や損失」と理解すると分かりやすいです。
臨時差益のポイント
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毎期必ず発生するものではない
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財務諸表の分析では経常的な損益と分けて考える
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ごく少額の場合は経常損益に含めることも可能
臨時差益の具体例
臨時差益は、通常の営業活動や投資活動では生じない一時的な損益です。以下のような事例があります。
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固定資産の売却損益:不要になった建物や設備を売却して得られた利益
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固定資産除却損:老朽化した資産を除却した際に計上される損失
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投資有価証券の売却損益:保有株式や債券を売却した際の利益や損失
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子会社からの特別配当:通常の配当とは別に受け取る一時的な配当
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災害による損失:自然災害で発生した損害の一部
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棚卸資産の評価減:商品や製品の価値が一時的に下がった場合
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訴訟の解決による費用減少:訴訟和解によって将来の費用が減った場合
これらは「今後数年間で再度発生する可能性が低い損益」として扱われます。
臨時差益と特別損益の違い
会計上、特別損益と臨時差益は似た概念ですが、厳密には使い分けがあります。
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特別損益:広義で、一時的な損益全般を指すことが多い
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臨時差益:より限定的で、極めて特殊な損益を指す場合に使用
財務諸表で両者を併用する場合は、分析上の透明性を高めるために区別されることが望ましいです。
損益計算書での取り扱い
臨時差益は、経常的な利益とは別に区分して表示されるのが原則です。
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経常利益:通常の営業や営業外活動から得られる利益
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臨時差益:一時的・特殊な原因による利益
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分析上のポイント:臨時差益は継続的な利益力を示すものではないため、経常利益や当期純利益と分けて評価する
ただし、誤差の範囲内の少額項目であれば、経常損益に含めても問題ありません。
まとめ
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臨時差益は「経常的ではない特殊な利益や損失」のこと
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固定資産売却、投資有価証券売却、災害損失などが代表例
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財務諸表分析では経常利益と区別して扱うことが重要
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少額の場合は経常損益に含めることも可能
臨時差益を正しく理解することで、企業の財務状況や一時的な要因を見極めやすくなります。特に投資家や経営者が損益計算書を分析する際には、経常利益と臨時差益を明確に区別することが、経営判断の精度向上につながります。
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