生命保険に加入していると、「自動振替貸付(じどうふりかえかしつけ)制度」という言葉を耳にすることがあります。
保険料の支払いが一時的に難しくなったときに契約を継続できる便利な制度ですが、仕組みを理解していないと「気づいたら解約返戻金が減っていた」ということにもなりかねません。
この記事では、自動振替貸付の仕組み・利用される流れ・注意点を初心者にもわかりやすく解説します。
自動振替貸付(自動振替貸付制度)とは?
自動振替貸付制度とは、生命保険の解約返戻金を担保にして、保険会社が未払いの保険料を自動的に立て替えてくれる仕組みのことです。
通常、保険料は毎月や毎年の支払期日に払い込む必要があります。
しかし、経済的な理由や手続きのうっかり忘れで支払いができなかった場合、すぐに契約が消えてしまうわけではありません。
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まず「払込猶予期間」があり、この間に支払えば問題なし。
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猶予期間を過ぎても払えなかった場合、自動振替貸付が使える契約なら、解約返戻金の範囲内で保険料を立て替えてくれるのです。
自動振替貸付が利用される流れ
自動振替貸付が適用されるまでの一般的な流れは次のとおりです。
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保険料の払込期日を過ぎる
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「払込猶予期間」が経過する(通常1か月程度)
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その時点で未払いがある場合、保険会社が解約返戻金をもとに自動的に貸付を行い、保険料に充当
つまり、「解約返戻金」という積立金があるからこそ利用できる制度です。
掛け捨て型保険(解約返戻金のない保険)には、この制度はありません。
自動振替貸付のメリット
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契約が失効せずに継続できる
→ 一時的に支払いが難しくても、保障を失わずに済みます。 -
特別な申請手続きが不要
→ 保険会社が自動的に処理してくれるため、うっかり忘れても対応してくれる安心感があります。
自動振替貸付の注意点
便利な制度ですが、次のような点には注意が必要です。
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利息がかかる
立て替えは「貸付」扱いなので、所定の利息が発生します。 -
解約返戻金が減る
貸付金と利息は解約返戻金から差し引かれるため、将来的に受け取れる金額が減少します。 -
解約返戻金がなくなれば失効する
貸付を繰り返し、解約返戻金が尽きると契約は失効してしまいます。
自動振替貸付を利用するケースの例
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「ボーナス支給まで一時的に資金が不足している」
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「銀行口座に入金を忘れていて引き落としができなかった」
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「家計が一時的に厳しいが、保険を解約したくない」
このような場面では、自動振替貸付が大きな助けとなります。
ただしあくまで一時的なサポートであり、長期間にわたって利用し続けるのはリスクが大きいです。
まとめ
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自動振替貸付とは:解約返戻金を担保に、未払い保険料を保険会社が自動的に立て替える制度
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メリット:契約が失効せず、申請不要で継続できる
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注意点:利息がかかり、解約返戻金が減り、最終的には失効する可能性がある
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使い方のポイント:一時的な資金不足の際に活用し、長期化は避ける
自動振替貸付は、うっかりや一時的な支払い困難をサポートしてくれる心強い仕組みですが、「借入」であることを忘れず、早めに保険料を通常の方法で払い戻すことが大切です。
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