複式簿記は、会社や個人事業の会計管理において欠かせない記帳方法です。
初めて聞く方には少し難しく感じるかもしれませんが、仕組みを理解すれば、日々の取引の記録や帳簿作成がぐっとわかりやすくなります。
この記事では、複式簿記の基本から具体的な記録方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
複式簿記とは?
複式簿記とは、すべての取引を「二面性」に着目して記録する簿記の方法です。「二面性」とは、たとえば建物を現金で購入した場合に、
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建物という資産が増える
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現金という資産が減る
という2つの側面があることを指します。この2つの動きを、借方(左側)と貸方(右側)に同額で記録することで、帳簿のバランスを保ちます。これを「貸借平均の原理」と呼びます。
複式簿記の歴史
複式簿記は、1494年にイタリアの商人による『スムマ』という本で理論が示されたことが起源とされています。日本では江戸時代に大福帳など独自の帳簿管理が行われていましたが、複式簿記の本格的な導入は福沢諭吉の功績によるものです。福沢はアメリカの簿記教科書を翻訳し、日本に複式簿記を広めました。
複式簿記の基本ルール
複式簿記では、取引を以下のように整理します。
| 取引例 | 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|---|
| 建物を現金で購入 | 建物 100万円 | 現金 100万円 |
| 商品を売上代金で現金受取 | 現金 50万円 | 売上 50万円 |
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借方:資産の増加や費用の発生を記録
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貸方:資産の減少や収益の発生を記録
借方と貸方の合計は常に一致するため、帳簿の誤りが一目でわかります。
複式簿記のメリット
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正確な財務状況の把握
借方と貸方のバランスにより、資産・負債・収益・費用の流れを正確に把握できます。 -
損益の管理が容易
収益と費用を明確に区分できるため、事業の損益状況が把握しやすくなります。 -
税務申告の準備が簡単
帳簿が整っていれば、確定申告や法人税の申告もスムーズになります。
複式簿記を始めるには
初心者でも複式簿記を始めるには、以下のステップがおすすめです。
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勘定科目を理解する
「現金」「建物」「売上」「仕入」など、取引を分類するための科目を覚えます。 -
日々の取引を記録する
毎日の取引を借方・貸方に分けて記録します。 -
試算表で確認する
借方合計と貸方合計が一致しているかを確認することで、誤記録を防げます。
まとめ
複式簿記は、企業や個人事業主が正確に財務状況を把握し、税務申告を行うために欠かせない記帳方法です。借方・貸方の二面性を理解し、毎日の取引を丁寧に記録することで、帳簿管理がぐっと簡単になります。
簿記や会計初心者の方も、まずは少額の取引から複式簿記を実践してみることをおすすめします。慣れてくると、事業の財務状況を正確に把握し、将来の経営判断にも役立つ強力なツールとなります。
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