費差益とは

費差益とは?生命保険会社の利益構造をわかりやすく解説

費差益(ひさえき)とは、生命保険会社が事業運営を行う際に予定していた事業費よりも、実際にかかった事業費が少なかった場合に生じる利益のことです。

生命保険会社の利益構造は一般企業と異なり、「基礎利益」という独自の指標で把握されます。費差益は、この基礎利益を構成する3つの要素のひとつとして重要な役割を果たしています。

生命保険会社の基礎利益とは?

生命保険会社の本業による利益を 基礎利益 と呼びます。これは、臨時的な損益を除いた「安定的な収益力」を示す指標で、次の3つの差益の合計から算出されます。

  • 利差益(りさえき):予定利率よりも高い運用収益が得られた場合の利益

  • 費差益(ひさえき):予定事業費よりも実際の事業費が少なかった場合の利益

  • 死差益(しさえき):予定死亡率よりも実際の死亡率が低かった場合の利益

この3つの差益がプラスであれば、保険会社の基礎的な収益が健全であるといえます。

費差益が発生する仕組み

生命保険会社は保険料を算出する際に、将来必要となる事業運営コスト(人件費・広告費・システム費用など)を 予定事業費率 として見込んでいます。

実際の運営で、この事業費が予定より少なく抑えられた場合、その差額が 費差益 となります。

👉 具体例:

  • 保険料を計算する際に「事業費は1契約あたり月1,000円かかる」と見込んでいた

  • 実際には効率化やコスト削減により「月900円」で済んだ

  • この差額100円が「費差益」となる

 

保険加入者にとっての費差益の意味

「費差益」という言葉自体は保険加入者に直接関係がないように思えますが、実は重要なポイントです。

  • 保険会社の経営健全性を示す指標
    予定よりもコストを抑えて運営できているかどうかは、会社の効率性を表します。

  • 将来の配当や保険料水準に影響
    費差益を含む基礎利益が安定していれば、配当金が支払われたり、長期的に保険料が抑えられたりする可能性があります。

つまり、費差益は「加入者の保険料が無駄に使われていないか」を間接的に示す指標でもあるのです。

費差益・利差益・死差益の違いまとめ

項目 発生する条件 内容
利差益 実際の運用収益 > 予定利率で見込んだ収益 運用の成果による利益
費差益 実際の事業費 < 予定事業費 コスト削減による利益
死差益 実際の死亡率 < 予定死亡率 予想より死亡率が低かったことによる利益

まとめ

  • 費差益とは、保険会社の実際の事業費が予定より少なかった場合に生じる利益。

  • 基礎利益は「利差益・費差益・死差益」の合計から算出される。

  • 加入者に直接返還されるものではないが、会社の健全性や配当に影響を与える重要な要素。

生命保険会社を選ぶ際には、単に保険料や保障内容だけでなく、こうした経営の健全性を示す指標にも注目すると安心につながります。

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