生命保険に加入していると、「配当金」「有配当保険」といった言葉を耳にすることがあります。その背景には、保険会社が契約者に分配するための資金を積み立てる「配当準備金(はいとうじゅんびきん)」という仕組みがあります。
この記事では、生命保険における配当準備金の役割や決まり方、契約者への影響を初心者にもわかりやすく解説します。
配当準備金とは?
配当準備金とは、将来の契約者配当金の支払いに備えて保険会社が積み立てている資金のことです。
保険会社は毎年決算を行い、運用や経営の結果、利益が出る場合があります。この利益を「剰余金(じょうよきん)」と呼び、さらに前年度から繰り越された剰余金と合わせて、その一部を「契約者配当準備金」として積み立てます。
この積み立てられたお金が、のちに契約者へ配当金として分配される原資になります。
配当準備金の仕組み
配当準備金は、以下の流れで決まります。
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決算で剰余金が発生
運用益や予定より低い死亡率などによって、余剰資金が生まれる。 -
総代会で配当準備金繰入額を決定
剰余金と前期繰越剰余金の合計から、どのくらいを配当準備金に回すかを決める。 -
契約者配当率を設定
配当準備金に基づき、契約者ごとの配当金が算出される。
つまり、配当準備金は「契約者に配当金を分配するための基金」であり、その額が契約者への配当金に直結します。
配当準備金が契約者に与える影響
1. 配当金の額に関わる
配当準備金が多く積み立てられれば、それだけ契約者に分配される配当金の原資が増える可能性があります。
2. 経営の安定性に寄与
保険会社が安定的に配当金を支払うためには、配当準備金の積み立てが不可欠です。健全な準備金の運用は、契約者にとって安心材料となります。
具体例でイメージ
たとえば、ある保険会社の決算で剰余金が100億円出たとします。前年からの繰越剰余金が20億円あり、合計120億円が配分対象となります。
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総代会で「そのうち50億円を契約者配当準備金に繰り入れる」と決定
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残りは将来の安定運営や株主配当などにまわされる
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繰入額50億円をもとに、契約者配当率が算出され、加入者一人ひとりに配当金が割り当てられる
このように、配当準備金の大小は契約者が受け取る配当金に大きな影響を与えます。
まとめ
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配当準備金とは、契約者配当金を支払うために積み立てられる資金のこと
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剰余金と前期繰越剰余金から総代会によって繰入額が決定される
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配当準備金が多いほど、契約者に還元される配当金の可能性も高まる
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保険会社の健全な経営と契約者への利益分配をつなぐ大切な仕組み
生命保険の「有配当保険」を検討する際は、単に配当金の有無だけでなく、保険会社がどのように配当準備金を管理しているかにも注目すると安心です。
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