酒税とは

酒税とは?仕組み・税率・対象をわかりやすく解説

お酒には「酒税(しゅぜい)」という税金がかかっています。
普段コンビニやスーパーで購入するビールや日本酒の価格には、この酒税がすでに含まれています。

この記事では、酒税の意味や課税の仕組み、税率の違い、そして税法改正の背景まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

酒税とは?基本の意味をわかりやすく解説

酒税とは、「酒税法」に基づいて課される国税の一種で、酒類の製造や出荷の段階で課税される**間接税(個別消費税)**です。

つまり、消費者が直接納める税金ではなく、製造者(または輸入業者)が国に納税します。
しかし、実際には税額が商品価格に上乗せされて販売されるため、実質的な負担者は消費者という構造になっています。

酒税が課される理由

酒税の目的は大きく2つあります。

  1. 嗜好品への課税としての財源確保
    酒類は生活必需品ではないため、税収源として安定的な財源を確保する狙いがあります。

  2. 過度な飲酒の抑制(健康面への配慮)
    飲みすぎによる健康被害を防ぐため、一定の価格上昇を通して過剰消費を抑制する目的もあります。

この考え方は、「たばこ税」と非常に近いものです。

酒税の課税対象と納税者

酒税は、アルコール分1度以上の飲料に課されます。
具体的な課税対象は以下の通りです。

  • 清酒(日本酒)

  • 焼酎(甲類・乙類)

  • ビール・発泡酒・新ジャンル(第三のビールなど)

  • ワイン・果実酒

  • ウイスキー・ブランデー

  • リキュール類・スピリッツ類

納税義務者はこれらを製造・輸入する事業者であり、出荷や輸入の段階で課税されます。

酒税の税率|種類ごとの具体例

酒税の税率は酒類の種類・品目・アルコール度数によって異なります。
一般的に、アルコール度数が高いほど税率も高くなる傾向があります。

以下は代表的な税率の一例(現行法ベース)です。

酒類区分 容量 酒税額(目安)
清酒(日本酒) 1.8L 約252円
焼酎(甲類) 1.8L 約446円
ビール 350ml缶 約70円
ウイスキー 700ml 約286円
ワイン 750ml 約80円

同じアルコール度数でも、酒類の区分によって税率が異なります。
特にビール系飲料は税制上の扱いが複雑で、税率の違いが「発泡酒」や「第三のビール」といった新商品の開発を促す要因にもなっています。

ビール・発泡酒・第三のビールの税金の違い

一時期、「第三のビール」がブームになった理由をご存じでしょうか?
それは、酒税法上の区分によって税率が低く設定されていたためです。

  • ビール:麦芽使用量などの条件を満たす → 税率が高い

  • 発泡酒:ビールより麦芽が少ない → 税率が低い

  • 第三のビール:ビール・発泡酒以外の製法 → 当初はさらに低税率

ただし、税制の公平性を保つため、2023年以降、段階的に税率が統一される方向に進んでいます。

酒税の改正動向|税率の一本化へ

政府は、酒類間の不公平感をなくすために、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率を段階的に一本化する方針を進めています。
これにより、税率差を利用した「新ジャンル戦略」が難しくなり、今後は品質や味わいで競争が進むと考えられます。

まとめ:酒税は「嗜好品への課税」かつ「健康配慮型の税金」

酒税は、お酒の製造・出荷時に課される国の個別消費税であり、最終的には消費者が負担する間接税です。
財源確保だけでなく、健康面や社会的影響を考慮した重要な税制度の一つです。

税率は酒類の種類やアルコール度数によって細かく異なり、法改正により今後も変動する可能性があります。
会計や経理業務を担当する方は、最新の酒税法の動向を常に確認することが大切です。

さらに参照してください:

相続税法とは?わかりやすく解説|相続税・贈与税の基本を税務の専門家が説明